勃起不全(ED)治療薬「バイアグラ」が認知症に効果があるかもしれない。
2021年12月にそんな研究成果を米国の研究チームが米国科学誌「Nature Aging」で発表しました。
「バイアグラ」と「認知症」という意外な組み合わせが生まれたのは、どのような理由なのか。
バイアグラの利用者で認知症の発症者が少ない

日本では1999年に発売され、さまざまな話題を提供してきた勃起不全治療薬の「バイアグラ」。今度は、認知症にも効果があるのではないかという報告がありました。
米国でバイアグラ(成分:シルデナフィル)の服用者を保険請求のデータより調査をした。
結果としては、バイアグラの服用者は非服用者に比べて認知症(アルツハイマー)の発症が69%少ないことが発見された。
バイアグラは当初、血管を拡張する心臓病薬として開発されたが、体内の他の場所でも作用することから、勃起不全の治療にも使えるのではないかと考えられ、その目的で利用されるようになった。
バイアグラが脳の血流を促し認知症の改善か?

認知症(アルツハイマー)は脳内で産生される「アミロイド」と「タウ」という2種類のタンパク質が関与していると考えられています。
この「アミロイド」と「タウ」が脳内に蓄積するとアミロイド斑やリン酸化したタウ・タンパクによる神経原線維変化が生じ、両者の相互作用が認知症の発症や進行に重要であると考えられています。
バイアグラには血管を弛緩させ、血流を改善する作用があります。その作用は脳にも及び、アルツハイマー病の特徴である異常なたんぱく質の脳への蓄積が抑制されるのではないかと考えられています。
さらに、この研究では幹細胞を用いてアルツハイマー病患者由来の脳細胞モデルを作製しました。
このモデルを用いてバイアグラがタウたんぱくの過剰なリン酸化を抑制し、脳細胞の成長を促すように働く可能性を報告しています。
バイアグラで脳や男性器への血流改善が及ぼす効果

バイアグラを使用することで、体中の血管に何らかの作用を及ぼすことから、定期的に利用をすることは体の血流が改善する事は確かです。脳への血流の変化は何らかの恩恵も期待できるかもしれません。
もちろん、用法容量を守らないで使用すれば体が耐えられなく血圧で体を害する恐れもあるかもしれません。
ただし、このバイアグラと認知症の研究結果は、あくまでも一つの側面のデータであります。バイアグラが服用できる経済力がある人達と、そうでない人との大きな区別であります。
つまり、調査した米国の保険データの対象者はある程度の裕福な経済力がある人達が対象者となっています。経済力がある人達は別の要因で認知症になりにくくなっているかもしれません。
という事ですが、それでもバイアグラは用法容量を守って利用すればメリットが多いと知られています。
「定期的にバイアグラ」で寿命を延ばす理由

一般的に年齢と共に勃起力が低下し放置をすれば、次第にED(勃起不全)の傾向が強くなるものです。年齢だからと諦めてしまうと実は男性として多い疾病の前立腺肥大症からガンになる確率を高めてしまうようです。これが男性の平均寿命を下げる一つの要因かもしれません。
この前立腺肥大症は一般的な統計では、50歳からより増加します。組織学的な前立腺肥大は、30歳代から始まり、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%にみられます。
このバイアグラと前立腺肥大症の関係は、性行為時の血流の流れから確認できるとされています。
オナニー、性行為で前立腺の血流向上
実際に「男性の肛門に、妊婦の膣」に超音波装置を入れ、その状態でマスターベーションをしてもらと、男女共に前立腺への血流がよく流れ始めるのが見て取れるようです。
前立腺肥大症の1つの原因は性行為の減少からの血流の低下と考えられるようです。そして、年齢と共に運動量の低下で前立腺(男性器)への血流が起きなくなっているという見方も出来るよです。
男性器が勃起すると血液は、陰茎の毛細血管にも送り込まれて、血管に血をみなぎらせる。
同時に、精嚢から精子がみるみると集まりだしたかと思うと、レーザービームのようにものすごい勢いで尿道に向かって直線的に突き抜けていった。
そして、勃起不全の男性がバイアグラを使用することでの普段使わない(使わなくなってしまった)部分への血流の改善が「動脈硬化」や様々な疾病へ対応できる可能性があるようです。
そして、ここにきて血液と密接な関係がある脳や認知症(アルツハイマー)とバイアグラの関係が見えてきた。バイアグラの利用により認知症の改善や予防への関与が全く関係がないとは言い切れないようです。
「性の若返り」が寿命を延ばす

バイアグラというと体に無理をさせて「死ぬまでセックス」をするED治療薬として嫌煙している人もいるかもしれません。
身体のに負担をかけてまで、そんなにセックスをしなくても、とお思いかもしれませんが。
副作用として考えられている血流の増加が思いがけないメリットがあるようです。
新たに期待されている認知症の予防としてのバイアグラですが、これまでも少なくともバイアグラは高血圧症、狭心症、前立腺肥大症の治療にも貢献しています。
まだ、研究、調査段階ではありますが、バイアグラの副次的なメリットに認知症の予防がある可能があるので、もっと積極的に血流、勃起力の改善で体を健康にしたいですね。
バイアグラは元々は予定されてなかった勃起不全の治療効果から、体の全体の血流改善とアンチエイジングとしての動脈を若返ららせる効果もあり、「性の若返り」から「身体の若返り」も期待できるようです。
パッケージ名が違っても同じ成分
既に多くの薬で1つの成分で複数の治療薬として販売されています。それうちの一つがシルデナフィルを初めとするED治療薬ですね。
もともと狭心症治療薬として開発していたシルデナフィルを、ED治療薬「バイアグラ」として製品化したのは有名な話。
その「バイアグラ」も発売から約10年たった2008年、今度は「レバチオ」という別の製品名で、肺動脈性肺高血圧症治療薬として臨床現場に登場しました。
今では当成分の製薬特許も満了したので他社からも正規品のジェネリックも発売されています。
良く知られている海外ジェネリックとしてはカマグラゴールドがあります。
ジェネリックという他のタイプのED治療薬も発売されており、安価ですのでご自身の体に合った成分を選択するのも手軽になりました。
また、近年ではコロナ治療薬として「イベルメクチン」が知られています。
元々は寄生虫や病原生物の駆除薬として日常的に使われてきました。それが、コロナ禍でSNSでイベルメクチンを飲んだらコロナが治ったとして、日本国内でも本格的にコロナ治療薬として申請がされています。
このように思いがけない治療や予防効果がある可能性があるのですが、医薬メーカーとしては既に医薬特許保護期間が満了している既存の医薬品は設けられないので積極的ではないのが事実なようです。
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